じーさまが亡くなって10日が過ぎた。
枕花とぼんぼりと盛りかごに囲まれた祭壇の上の写真はまぎれもなくじーさまだけど、もう面会に行くこともないのかと思うと変な気持ちだ。

正月2日には親戚の集まりにも連れ出すことができた。
でも、10月の法事の時とは比べものにならないくらい、口にしたものを飲みこむことができなくなっていた。
田作り2つ、まぐろのお刺身2切れ、おいなりのご飯を一口、黒豆のつぶしたのを何とか食べれた程度。
1日900mlと厳しい水分制限をつけられていたけどビールをせがまれ、ほんの一口注いだら、むせながら必死で飲んでいた。
現役時代は毎晩の接待でただ酒ざんまいだったじーさまの人生最後のビールになった。

数日後、3歳上の京都のおじさんの訃報が入り、理由は言わずに「ちょっと2日だけ来れないから」と、親戚8人と2台の車で京都へ急いだ。
おじさんの遺影がまるでじーさまとそっくりで、何度見てもドキッとした。
去年9月に会いに行った頃が一番元気だったそうで、あの時思いきって連れていってよかったと心底思った。

危篤になる前日、なにやらボソボソとしゃべるので聞き返すと、「わしは何もかも知ってるぞ。兄貴、死んだろ?」とはっきり聞き取れて一瞬、ビビった。
親戚から「おじさんが死んだことは黙っていた方がいい」と言われていたのでうやむやにしたけど、さすがじーさま、この期に及んでカンが鋭い。
「90過ぎたら生きていたってしようがない」とか、「看護婦はわしを病人扱いする」とか、「ここを出て家に帰る」とか、その日はいつになくよくしゃべって「疲れた寝る」というので帰った。

ボケていれば、自分の死が近づいていることもわからないまま終わるかもしれないけど、
最後まではっきりしていれば、いろんなことを感じて察して考えてしまうのだろう。
時々はぼんやりしていても大半はわかっているから、最後の最後まで、与えられる酸素を痛々しいくらい、大きくしっかり吸って、吐いて、を繰り返した。
言葉をかけられたらこっくりうなずいて、最後にちゃんとおじさんが亡くなったこと伝えた時は「うー」と声をあげ、孫たちが帰ってきて声をかけた時もわかっていたし、
2日半の間、何も食べず、薬も飲めず、点滴もできないのに、ただただ、強まった酸素量をしっかり吸って吐いて命をつないでいた。
もう頑張らんでいいから。
でも、この精神力・忍耐力があるからここまで長生きできたんだなと思った。
危篤状態の2日間、じーさまの部屋で寝泊りしてほとんど徹夜状態。
でも、みんなに囲まれて、スタッフの人たちもよくしてくれて、最後は静かに吸って、吐いて、コトッと終わった。40度の熱が続いていたので、いつまでもその体は熱かった。
「ああ、お疲れさまでした」と、ホント、そんな感じでした。

昔のアルバムから写真を選んでDVDを作ってもらったり、
お棺に娘が折った折り鶴や家族4人で寄せ書きしたじーさまの似顔絵の色紙を入れたり、とても心のこもったお見送りができました。
こっちは写真とコメントを提供するだけだけど、また泣ける曲にのせてうまく編集してくれるものだから、みんな感動してくれた。

ここらの葬式は都会と違って、納棺から始まって1日仕事。
翌日は納骨とまた親戚にお昼をふるまって「やれやれ」と思ったのもつかの間、
「ちょっと、今度は○○おばさんが亡くなって、明日お通夜だって!」と電話が・・!
年は皆、95,92,93と長寿を全うしたから仕方ないけど、2週間のうちに3回もお通夜と葬式のフルコースに出たのは初めて。
今頃、天国はにぎやかだろうな・・




コメント

みかりん
2017年1月24日9:08

みんなに囲まれての旅立ち、おじい様きっとうれしかったのではと思います。ポピーさんもどうぞお疲れが出ませんように。

Nicky
2017年1月24日9:38

ポピ様も、おじいちゃんもお疲れ様でした。お兄さんが亡くなられた事とか勘づいたり、ほんと最後まで意識もしっかりしてたんだね。だから逆に辛そうな姿みるとすごく可哀想に思えるよね、、、父方のおじいちゃんが亡くなったときのこと思い出しちゃった。
でもほんと、天国でみんなワイワイしてるんだろうね。
2週間で3回もお葬式があったなんて、、ポピ様も本当お疲れ様でした!

sara
2017年1月24日11:07

娘が実の親に愛情を注ぐのは普通にあることですが、ポピーさんは家族としての愛情をしっかりおじい様に注いで接して見えたので、そのさっぱり感にひかれてじい様ブログを読むのが私の楽しみでした。
長かったおじい様の人生、本当にお疲れ様でした。ポピーさんお疲れさまでした。

ポピー
2017年1月25日3:37

みかりんさま>言葉が通じないから最後はずっと手を握ってアイコンタクトで話していたつもりだけど、いったい何を思って何が言いたかったのかな?
雪が舞う寒い時期、あれから風邪をひいてしまい、やっと抜けて楽になったところです。

ポピー
2017年1月25日5:04

Nickyさま>熱が40度から出てじーさまはホント可哀そうだったよ。なんか老衰って言うともっと楽にスーッと逝けるのかなと思っていたのに、まるまる2日も戦える生命力に脱帽です。あのカンの鋭さにも脱帽(^^;)
おじさんが呼んだのかな~? 両手足自由になって、懐かしい人たちとワイワイ楽しく過ごしてほしいです。

ポピー
2017年1月25日5:22

saraさま>少々偏屈で、几帳面で、ちょっとはちゃめちゃで、さすがダンナの原型という感じの人でした。古いアルバムには几帳面に整理された92年の歴史がいっぱい。また思い出してはことあるごとに登場するかもしれませんので、じーさまブログも続編があるかもです。

磯野コンブ
2017年1月26日10:06

じーさまご長寿でしたね。皆様に囲まれて立派な最後でしたね。
そういえば9月に瀬戸大橋を渡って日帰りで京都まで、ってありましたよねえ。
ポピーさん、赤ちゃんから妊婦から高齢者までお世話が完璧で頭が下がります。すごいなあ。
ご主人様もお心落としかと思いますので皆様お体をじゅうぶんいたわってくださいね。お疲れ様でした。

ポピー
2017年1月26日23:47

磯野コンブさま>いやいや、完璧なんて・・(汗)施設に入れて下の世話もせず、いいとこどりの嫁です。
もう出る言葉は、「何も出来なくてごめんね」「今までいろいろとありがとう」しかなかったですもん。
でもたった2か月違いで生と死の瞬間に立ち会って、すごく目まぐるしくていろいろ考えさせられました。主人はやはり落ち込んでいるみたいだけど、やることがあり過ぎて前を向いていくしかないですね。

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